暴君を手懐けて逃げてしまった
wami
副管理人のWamiです。今回はピッコマ連載中の韓国マンガ「暴君を手懐けて逃げてしまった」の原作小説・第1巻のあらすじを簡単にまとめてみました。
原作タイトル(韓国):폭군을 길들이고 도망쳐버렸다
英語タイトル:The Taming of the Tyrant
作品紹介
-
【ピッコマ】暴君を手懐けて逃げてしまった【ネタバレ】
続きを見る
原作小説のあらすじ
スポンサーリンク
※詳細はコチラをクリック(閲覧注意!)
wami
原作小説は全4巻です。今回は第1巻を駆け足でご紹介!
1.魔剣キーラ
- シャーリーズ・ローナンは、家族から虐げられていたが剣術の才能だけは優れていた。
- そして皇帝ディートリッヒ一世と魔法使いたちに騙され魔剣キーラにされてしまう。
- 魔物の死体から出る「エヒリトのかけら」。それは生命を創造する神の力が宿っていた。そのかけらを毎日強制的に食べさせられたシャーリーに残ったのは自我だけだった。歴代の皇帝だけが彼女の声を聴くことができた。
- 家族は拷問され次々に殺された。シャーリーは皇帝に従うしかなかった。それは数百年も続いた。
- シャーリーは神に祈り続け魔剣に姿を変えてから400年後、13歳だった自分に回帰した。
- シャーリーは皇帝を破滅させ帝国を滅ぼして復讐することを誓った
- シャーリーの母親レイチェルは、彼女を産んですぐに亡くなった。大公はシャーリーを恨み冷遇した。兄二人もシャーリーを避けていた。
- 回帰前は家族の愛情を心から願っていたシャーリーだったが、もう心は冷え切っていた。
- シャーリーは自分の中に「エヒリトの気配」が宿っているのを感じていた。そして歴代皇帝のマナが彼女の中に息づいていた。彼女は「自分は強い」と確信してた。その力はマスター以上だった。
- 大公家の騎士達もシャーリーの実力には一目置いていた。
- シャーリーは自分に嫌がらせをしていた侍女たちを全員解雇した。
- 誕生日の日、シャーリーは「皇族師匠申請書」を書いた。復讐を果たす決意のためだった。家族は誰も祝いに来ることはなかった。シャーリーは母の墓前でこれからは自分の生きたいように生きると宣言した。
- 1人の騎士が恥ずかしそうにシャーリーに祝いの挨拶をした。シャーリーは知らなかったが、多くの使用人たちが声をかけることができないまま様子を伺っていた。
- 追悼室から出たシャーリーは大公と二人の兄に出会った。しかし彼女は無視した。二番目ののダンテ公子が声をかけたが「その価値はない」という言葉を残して去った。ダンテ公子はシャーリーの変化に不気味さを感じた。
- 2年が経ち大公家を出る時が来た。シャーリーの実力はマスターに近づいていた。名誉騎士となり第13皇子の教育係として皇居で暮らすことになった。復讐の第一歩を踏み出した。
- ディラン・ファン・ブレード。彼女の弟子になり主君になる少年だった。
- 回帰前は、皇帝の影で帝国を手中に収め君臨した支配者で、天才的な才能と残虐性を持つ危険な男だった。シャーリーは彼を手懐けて皇帝の血筋と帝国を破滅させるつもりだった。
- 最初の授業は剣術だった。ディランは警戒していて実力を隠した。しかしそれはシャーリーも同じだった。400年の経験を積んだ彼女は、いくらディランが天才であってもその警戒を解く自信があった。
- シャーリーには妖精の血が流れているという噂は本当だった。妖精たちは彼女から魔力を分けてもらっていた。「いつか恩返しをしてくれるだろう。」シャーリーは妖精たちに優しくした。
- 初日、シャーリーの寝室に刺客が現れたが彼女は一瞬で始末した。皇族の誰かが仕向けた暗殺者だった。剣術の師を招いたということは、ディランが皇位継承権をめぐって争うと宣言したも同然だったからだ。
- ディランの寝室からも音がした。死体を抱えて廊下を横切ったが、彼女の部屋の前で止まった。シャーリーは息を止めたがディランはそのまま通り過ぎて行った。
- ローナン大公は、シャーリーが家を出て戻らないことを不快に感じていた。彼女の行動に混乱していた。
- 一方、シャーリーは順調だった。ディランは少しづつ彼女の事を意識し始めた。彼にとって予測不可能な存在だった。
- シャーリーはディランの事を考えていた。ディランは父親の皇帝には興味がなかった。全ての関心は母親の第7后妃にあった。母親を侮辱する者たちは皆死んだ。それは偶然ではなかった。彼が帝国の密かな支配者だったことは、彼の死後明らかになった。それだけでなく美術や芸術、学問などあらゆる分野に功績を残していた。
- 彼の死後に発見された第7后妃の遺言状には「目立たず、どんなことをしても生き残るように。」とあった。彼は死ぬまでの母の遺言を守った。
- シャーリーが今までディランの師匠にならなかったのには理由があった。今秋、第7后妃は死ぬ運命だった。ディランの歓心を買うために、彼女の死を最大限に利用するつもりだった。
- 突然、ディランの部屋からピアノの旋律が聞こえてきた。シャーリーはハミングで応えた。二人のやり取りはしばらく続いた。
- ローナン大公家では、2番目のダンテ公子だけはシャルルのことを気にかけていた。それでもアリに向けるほどの関心でしかなかった。しかし妹を全くいない人間のように扱うことはできなかった。思い切って彼女に手紙を出したものの返信が来ないことにショックを受けていた。
- シャーリーは母親に会うディランに同行した。母親に優しく声をかけるディランの姿は今まで見たことないような情熱的で積極的なものだった。
- その姿を見ながらシャーリーは考えていた。これから秋にかけて第7后妃は死ぬほどの苦痛に見舞われる運命だった。それを救う唯一の方法はヒール草を使うことだった。しかしそれを持つのは皇帝だけ。今度の剣術大会に優勝して手に入れるつもりだった。
- ディランが母親にシャーリーを紹介した。「息子の指導をお願いします。」后妃の手を取ったシャーリーは胸に重しを乗せられたような気分だった。
- 面会を終え二人は第7皇宮を離れた。ディランにとってシャーリーは魅惑的だった。しかし彼を戸惑わせたのはその美しさだけではなかった。彼の洞察力は相手の深いところまで読み取ることができた。シャーリーは人間というよりはまるでもっと鋭い本質を持つ金属のように感じられた。
- 「どうもありがとうございます。先生」ディランは黙礼した。シャーリーの微笑みは柔らかいようで刀のように鋭く感じられた。ディランは気づいた。「まるで魔剣のようだ。」
- 感謝を述べるディランにシャーリーは衝撃を受けた。ディランの壁は少しづつ崩れていくようだった。
- 翌日、剣術授業の最中に第9皇子が尋ねてきた。シャーリーは回帰前の事を思い出してみたが、ディランとは接点のない人物だった。比較的長生きしたが、それは何の使い道もなかったからだった。
- 第9皇子はシャーリーを侮辱してきた。その矛先はディランにも向けられた。
- ディランを侮辱されたシャーリーは第9皇子に正式に決闘を申し込んだ。第9皇子は自分の護衛を代理に立てた。傭兵出身の巨漢な男だった。
- 決闘は演舞場で行われ、多くの騎士たちが見物に集まった。「先生・・」と声をかけるディランをシャーリーは軽く笑い飛ばした。
- シャーリーの圧勝だった。その剣術は人間離れしていた。恐怖におののいた第9皇子は謝罪し、シャーリーもそれを受け入れた。
- このことはディランの心の壁を壊すきっかけとなった。「曖昧なことがお嫌いでしたら私の事を徹底的に無視していただいてよいですし、逆に執着しても構いません。」シャーリーはディランの顔がこわばるのを見つめ、ついにこの時が来たことを直感した。
- 「執着されてもいい・・」その言葉にディランは衝撃を受けた。その瞬間、彼女は驚くほど魅力的だった。欲しいものは手段を選ばず手に入れる・・・シャーリーはディランの本質を言い当てた。彼女は完全に壁を壊した。
- シャーリーは剣術大会のため4日間の休暇を取った。妖精たちの力を借りて少年に変装し、リズという名前で出場することにした。
2.未来の暴君を手懐ける
- リズは難なく予選を突破した。本選で一番上の兄であるアカン公子とあたったが、悪目立ちするのを恐れて引き分けに持ち込んだ。
- 決勝戦前夜、前夜祭の見物に出かけたリズはディランを見かけ表情をこわばらせた。しかしディランが気が付くはずはないと安心した瞬間、彼が立ち止まってじっと見つめた。二人の目が合ったが、ディランはそのまま通り過ぎて行った。
- 広場では明日の決勝戦の賭けが行われていた。看板の名前を注意深く見ていたディランはゆっくりとほほ笑んだ。「リズに1億ゴールド」
- 決勝戦の相手はデルモン公爵家のカフー小公爵だった。回帰前のシャーリーの婚約者だった。シャーリーが行方不明になったとき、ローナン家は何もしなかったがカフーだけは5年以上も彼女を探し続けた。
- 彼を傷つけたくなかったシャーリーはわずかに力を抑えて勝利した。優勝者にはどんな願いでも叶えられることになっていた。リズは皇帝にヒール草を望んだ。そして宿屋にもどったリズは変身を解いた。リズを探し出すことはもう不可能だった。
- 終了後のパーティー会場でシャーリーはカフーと出会った。「生きていたんですか。」意外な彼の言葉にシャーリーの目が大きく開いた。
- 2年前、カフーも回帰していた。彼は未来を言い当てることができた。手がかりを求めて色々調べたが何もわからなかった。そしてさらに彼を混乱させたのはシャーリーズ・ローナンだった。彼女の行動だけ未来と嚙み合わなかった。
- シャーリーは婚約者だった。しかし彼女が17歳の時に失踪、5年以上探したようだ。その間にローナン家は崩壊していった。「社交界の悪女」「皇子の師匠」現在のシャーリーはまるで別人のようだ。
- しかしカフーの記憶はあいまいな部分も多かった。シャーリーは知らないふりをすることにした。自分との政略結婚の話を持ち出すカフーだったがシャーリーはきっぱり否定して立ち去った。カフーを巻き込むつもりはなかった。
- パーティにはディランも出席していた。ディランはなぜシャーリーが変装して剣術大会に出たのか分からなかった。これほど読めない人物に会うのは初めてだった。参加者達の視線の中心に立つシャーリー、ディランはその視線から彼女をかくしてしまいたいと思った。
- その夜、13皇子宮は第7后妃が苦痛で発狂しているという知らせに混乱していた。シャーリーは取り乱すディランを見たがすぐには動かなった。まだその時ではなかった。しかし一度后妃と会ったせいもあって到底落ち着いていることはできなかった。
- 翌日、授業を欠席するとの知らせを聞いたシャーリーはディランに面会した。そしてヒール草を渡した。シャーリーはどんな反応でも受け止めるつもりだった。「剣術大会でヒール草を願ったのですか?あなたの事がわからない。なぜ私に近づいてくるのか。」
- ヒール草のおかげで后妃の容体は落ち着いた。しかし死は近かった。第7后妃は最後にシャーリーに言った「息子をよろしくお願いします。」胸が締め付けられるようだった。「必ずそうします。」シャーリーが答えた。
- 回帰前、ディランは母親を看取ることができなかった。暗黒街でヒール草を探したためだった。しかし今回はシャーリーのおかげでディランは母親のそばを一時も離れず看病することができた。皮肉にも彼を暴君にしようとした計略が結果的に彼を救った。
- その後、第7后妃が亡くなったという知らせを受けた。
- シャーリーは第7后妃の葬儀に参列したが、弔問客はだれもいなかった。ディランはずっと遺書を胸に抱いていた。
- 最後の日、第5皇子が弔問にやってきた。回帰前、弔問に来たという理由だけで次の皇帝になった人物だ。キーラの2代目主人でもあった。
- 葬儀も終わりに近づき、シャーリーが気分転換のため外を歩いていると雨が降ってきた。するとディランが目の前に現れて遺書を手渡した。そこには「あなたがしたいように暮らしてください。私の分まで自由に生きてください」と書かれていた。遺書の内容は以前と変わっていた。「師匠にも伝えてほしいとのことでした。」
- シャーリーはディランの前に膝をついて騎士の誓いを立てた。しかし、ディランも彼女と同じように片方の膝をついていった、「私のレディーになってください。」
- シャーリーは「何も書かれていない白い画用紙」を手に入れた。あとはその色を塗りつぶしていくだけだ。ディランは飼い犬が愛嬌を振りまくようにシャーリーを盲目的に見つめた。
- ダンテ公子は皇居でシャーリーを見つけた。久しぶりに会った妹はとても美しかった。しかし彼女の態度はまるで他人のように冷たかった。何か貴重なものを永遠に失ったような気分だった。
- 第7后妃の葬儀あと、ディランはシャーリーにはっきりと聞いた。「先生は何がお望みですか?」シャーリーは平気な顔で答えた。「この帝国を支配してください。そして徹底的に破壊してください。」
- 「先生が望むなら。」ディランは自分の人生全てをシャーリーに捧げた。
- 5年が経ち、成人したディランは皇太子となった。シャーリーはもう公女ではなく太師となった。着々とディランを黒く染めていった。それは全て計画通りだった。
- シャーリーは皇太子冊立式でローナン大公達と再会した。詰め寄る大公に向かって冷たく言った。「大公家から除籍してください。」
- シャーリーは贈り物の代わりにディランの願いを三つなんでも聞くことにした。ディランが願ったのは「赦しをもらう免罪符」「騎士団の命名」そして「シャーリーの歌」だった。ディランの騎士団は「シャドウ」と名付けられた。それはのちに大陸を揺るがすほどに成長することになる。
- 翌日、ローナン大公家に「除籍申請書」が届いた。ダンテ公子達はなんとかシャーリーを説得しようとした。
- 日々マナサークルを浄化し続けたシャーリーはついに「セイント(剣聖)」に覚醒。一人で帝国を終わらせることができるほどの力を得た。
- アカン公子がシャーリーに面会に訪れたが、ディランと授業中だったため叶わなかった。しかし、二人の剣術を見てアカンは驚愕した。もう説得する気にもなれなかった。そして彼女に冷たく接していたことを深く後悔した。
- ディランは頻繁にシャーリーに接触するようになっていた。手にクリームを塗ったり、足湯で足を洗ったりもした。何か意図のある手つきではなかったが、シャーリーは直感的にそろそろ遠ざけなけらばならないと感じていた。
- シャーリーは皇太子妃候補としてハルエ公爵家のレミーヤ令嬢を勧めた。しかし、その話を聞くディランの表情は青ざめ目つきは暗く光り輝いていた。「私は殿下がレミーヤ嬢と結婚してほしいです。」と言うシャーリーをディランは盲目的で哀れな目つきで見た。
- 後日、皇太子妃にあれほど前向きだったレミーヤ嬢が辞退を申し入れてきた。顔は白く唇は震えていた。「まさかディランが?」シャーリーは一瞬疑ったがディランが自分に逆らうはずはなかったのでその考えを打ち消した。シャーリーが了承するとレミーヤ嬢の顔が明るくなった。皇太子妃の選出は頓挫してしまった。
- シャーリーは久しぶりにディランと散歩をした。皇太子妃の件がまだ尾を引いていたのでその表情は暗かった。
- 気遣うディランだったが、シャーリーに一つ願い事をした、「私が何をしても側にいると誓ってください。」
- これまでディランに最大限の信頼を与えようとしてきたシャーリーが断れるはずもなかった。「私はいつも殿下のそばにいます。」その言葉にディランはかすかに微笑んだ。ディランはシャーリーの手を握って唇を当てた。
- 「反逆を起こし皇帝の座を奪います。あなたに天下を差し上げます。」
- ディランは夢の中でシャーリーを抱いた。それは彼の欲望だった。ディランは彼女のためなら何でもする覚悟はできていた。しかし彼女以外との婚姻だけはできなかった。シャーリー以外の女性を抱きたいとは思わないし、シャーリーにも自分以外の男がいるのは許せなかった。
3.反逆を起こす
- ルーシーは暗殺ギルドのギルド長だ。シャーリーを襲ったが失敗、しかしシャーリーは彼女を生かしておいた。彼女は情報屋を紹介するといってシャーリーを酒場に案内した。
- 皇太子妃がいないディランには政治的な後ろ盾が必要だった。反逆には支持勢力も重要だった。
- 情報屋はケニン公爵の家宝にまつわる情報を話した。ケニン公爵は地方有数の軍権を握る大貴族で中立派だった。ケニン公爵の家宝はライオン山脈にあったが、多くの魔物が生息しているため立ち入ることができなかった。シャーリーはこれを利用することにした。
- 皇城に戻るシャーリーを遠くから眺める男がいた。魔法使いのローブを被った男が所有欲のにじむ声で呟いた。「欲しい、、」
- 皇太子冊立の記念舞踏会当日を迎えた。シャーリーのエスコートはディランだった。あの夢以来、ディランはシャーリーとまともに向き合うのが難しくなっていた。恥ずかしさと罪悪感だった。
- シャーリーもディランが自分を避けているのでは?と感じていた。もし自分に何の気もなければ距離を置く必要もないのでそれは幸いだった。
- 舞踏会では、ディランが皇帝に呼ばれている間にカフーがシャーリーにダンスを申し込んだ。人々の視線が二人のダンスに集中したがシャーリーは妙に不愉快だった。ふと2階を見ると皇帝の隣にいたディランが見つめていた。
- カフーはディランの刺すような鋭い目つきに凍り付いた。彼は自分が知る未来が完全に歪んでいることに戦慄していた。本来なら今の皇太子はディランではなく第5皇子のはずだった。そのことでシャーリーと話す必要があったが、それもできなかった。ディランが牙を隠した猛獣であることをカフーは知っていた。
- ダンテ公子とアカン公子はシャーリーを説得するためプレゼントを用意していた。それは非常に高価なブラックシャワーフラワーという花だった。しかし、それはシャーリーにとっては深刻なアレルギー反応を引き起こす花だった。
- 手渡されたシャーリーは血を吐き顔も白くなった。「もうほっといて!」ダンテたちはただ狼狽するだけだった。距離を縮めるつもりがさらに開いてしまった。
- シャーリーはふらふらとパーティ会場に戻るとディランと目が合った。マナを使って毒を追い出すこともできたが彼女はディランを信頼していた。そして目の前が暗くなった。
- 大公達はシャリーの事を何一つ知らなかった。傷つけるつもりはなかった。ただ心から謝りたかったが、今となっては祈ることしかできなかった。
- ディランは付きっきりで看病をした。シャーリーは強大なマナを使って毒と融合させようとしていた。誰かに邪魔をされると危険な作業だった。限界がないほどの広大なマナにディランは圧倒されるばかりだった。
- 3日後シャーリーは目覚めた。ディランは彼女の信頼を完璧に守った。
- シャーリーは15日間の休暇を願い出た。
- シャーリーはケニン公爵のもとに向かった。
- 不審に思うケニン公爵だったが、シャーリーは一人でライオン山脈に入り魔物たちを次々と倒していった。
- その様子を遠くから眺める男がいた。魔法使いペインだった。
- ペインは魔物について考えていた。魔物は数百年前に突然現れた。「世界を創造した神エヒリト」が死に多くの神の遺体が粉々になって散らばった。神の権能は「生命体の創造」だったのでカケラは全て魔物になってしまった。神のカケラがなぜ悪に満ちているのかは未だ解明されていない。とにかく神の力を持つ魔物たちの力は強大だった。
- しかしシャーリーはいとも簡単に魔物たちを倒していった。そして洞窟にたどり着き家宝を見つけた。
- ケニン公爵はシャーリーを代理人として皇太子に騎士の誓いを立てた。
- シャーリーは急いで戻り、ディランに宣誓書を渡した。ディランたちはシャーリーの誕生日パーティーを準備しているところだった。
- 書類を見たディランは言葉が出なかった。ケニン公爵家の後ろ盾を得たことは奇跡に近い事だった。
- 「長旅でお疲れでしょう」ディランは豪華な宝石で飾られた陶磁器を持ってきた。そこには温かいお湯が入っていた。ディランはシャーリーの足を洗い始めた。奇妙な感触にどんどん吸い込まれるような感じがして頬も熱くなった。
- シャーリーの誕生日パーティーは盛大に行われた。こんな幸せな日もいいかもしれない・・シャーリーはふと思ったが、感情に振り回されることはなかった。「皇帝も殺すつもりです。」ディランはしばらく固まった。穏やかな口調だったが、そこには殺気と憎悪が込められていた。
- ディランは妙な違和感を覚えたがそれを抑え込んだ。「すべては先生の思い通りになるでしょう。」愛する女性であり、唯一の師であり自分を救った人だった。
- 明るい笑顔のシャーリーにディランは何か秘密があることを感じた。しかしそれを暴くつもりはない。今のシャーリーが全てだった。
- 反乱の準備はほぼ終わった。全てはディランの騎士団「シャドウ」が進めた。毎日地獄のような訓練を行う彼らは確実に力をつけていた。
- 側近のヴィーが情報ギルドに情報を売り渡そうとしていた内通者を連れてきた。ディランは迷わずその者の首を刎ねた。「家族も全て探し出して手足を切り取って晒せ!」
- 思いやりと優しさはシャーリーのためだけのものだった。シャーリーが黒く染めたディランはキーラを超える暴君となっていた。
- 反乱実行の日が来た。シャーリー達が皇居の外を守り、ディラン率いるシャドーが内部を制圧する作戦だった。皇太子反逆の名分を与えるために皇帝の秘密書庫を掌握し不正を暴く必要があった。
- 待ちに待った皇帝の破滅はもうすぐだった。シャーリーは成功を確信した。
- ディランとシャーリーは第7后妃の墓地を訪れた。
- ディランは自分の名前を呼んでくれるようお願いした。シャーリーは狼狽えたが呼んだ「ディラン・・・」
- 「もう一回お願いします」「・・・ディラン」ディランはとても大切なものを受け取ったような感激した顔をしていた。シャーリーの頬は火照っていた。複雑な気持ちでこれ以上何も言うことができなかった。
- 今では黒く染まったが、かつて無垢だった少年が思い浮かんだ。シャーリーはディランの気持ちを感じさせないよう覆ってしまった。
- 二人が皇居に戻るとカフーが謁見に来た。反乱に参加したいという申し出だった。
- シャーリーは情報漏れによる作戦失敗かと思ったが、カフーは否定した。回帰前と違う行動をする彼女を調べているうちに行きついた推測だった。今回はシャーリーを守りたかった。
- シャーリーはカフーを巻き込みたくなった。回帰前、唯一自分を探してくれた人への恩義だった。カフーだけは安全な場所にいて欲しかったのに仕方がなかった。
- 皇居では「皇室騎士団の日」で晩餐会が開かれていてお祭りムードだった。そしてシャドウたちが晩餐会を急襲した。死者を少なくするために気絶草が使われた。
- 皇居の外ではシャーリーがケニン公爵と合流して皇居を包囲していた。
- ディランは皇帝の秘密書庫に入った。そこには皇族たちの不正の数々が記録された文書があった。
- ディランは本棚の奥に隠された文書を見つけた。<キーラ・生きた剣プロジェクト>というタイトルだった。おぞましい内容に顔がこわばったが、聞きなれた単語を見つけてしばらく止まってしまった。
- 「エヒリトのカケラ」シャーリーが授業で教えてくれたことがあった。「カケラを飲み込んだものを魔物のようにしてしまいます。精神が弱いと侵食されて食われてしまいます。」「生き残る方法もあります。成功事例は一つだけですが・・」その時の先生の表情は妙な感じだった。
- 作戦実行中だったがディランはその場を離れることができなかった。そしてまた別の文書を見つけた。
- <実験適合者候補リスト>そこにはシャーリーズ・ローナンの名前があった。
- ローナン大公家にも急報が届いた。皇太子反逆を知った大公は、騎士と兵士を従えて皇居へ向かった。
- シャーリーはローナン家が兵を率いて皇居に向かっている知らせを聞いた。「邪魔なら全て処理する」家族に向かって弓を引く彼女に皆驚愕した。
- しかし大公家は赤い旗を掲げていた。それは反乱に参加するという意思だった。シャーリーは固い表情のまま弓を下ろした。ローナンはたとえ失敗してもシャーリーズと運命を共にする決心をしていた。
- 皇室騎士団が皇居の外に数千もの魔物を放った。シャーリーは一人で対応したが、そこにペインが現れ彼女に加勢した。
- ディランは依然として文書に目を通していた。シャーリーの名前を見つけて頭が混乱していた。「もう時間がありません。」ヴィーの言葉で書庫を抜け出すが騎士たちに包囲されてしまった。彼らは皇帝から書庫を燃やすよう命令されていた。ディランは圧倒的な力で騎士たちを倒していった。しかし最後の騎士が倒れたあと炎が燃え広がった。そこにヒューゴが助けに来た。
- 書庫を抜けたディランはついに皇帝を発見した。
- シャーリーは全ての魔物を倒して戻ってきた。加勢した魔法使いはいつの間にかいなくなっていたがそれを気にする暇はなかった。
- そして「玉璽を見つけ皇帝も包囲、書庫も確保して皇族たちは皆逮捕した」との報告を受けた。
- シャーリーはゆっくりと実感が湧いてきた。感情は排除してただ復讐のために行動してきた。
- ディランは弟子であり主君であり道具だった。彼を人として尊重しなかった。計画を完成させるための最後のパズルだった。シャーリーは計画的で利己的だった。「稀代の悪女」という名がぴったりだった。
- 燃え上がる皇居を見下ろしたシャーリーは笑い声をあげた。
- ディランは皇帝と向き合っていた。計画通りなら不正を暴き、廃位させる正当な手続きを踏まなければならなかった。
- しかしディランは一瞬考えた。もしシャーリーがこのまま復讐を達成したら生きる意味を失い自分から離れていくかもしれない。どうしても彼女を手放すわけにはいかなかった。ディランは皇帝の処分を決定した。
- 自らの手で皇帝を・・・ディランは剣を高く上げた。
- シャーリーは次の報告を待っていた。しかし何の知らせもなかった。嫌な予感がしたシャーリーは皇居へ走った。
- 皇居は燃え上がり皇族たちの死体が転がりあちこちで苦しむ悲鳴が上がっていた。本来なら正式な手続きを踏んで処刑するつもりだった。
- 「はじめからディランは皇帝を殺すつもりだったのではないか」いつからディランを統制できていなかったのか・・シャーリーは炎の中に飛び込んだ。
- シャーリーはディランを見つけた。その足元には皇帝が倒れていた。「殺したんですか?」シャーリーの声はいつもと違って感情的だった。怒りに満ちた目でディランを睨んだ。皇帝だけは自分の手で殺さなければならなかった。ディランは返事をする代わりに優しく微笑むだけだった。
- ディランは皇帝に「エヒリトのカケラ」を飲ませた。「殺して終わらせるより生かしたまま地獄の中に追い込む方がいいでしょう。その方がもっと確実です。」シャーリーはぞっとして鳥肌が立った。
- 「そうではありませんか?先生」ディランは同意を求めるように優しく言った。床で縛られた皇帝はもはや人として生きていくことはできない存在となった。
- シャーリーはこのような復讐を考えたことはなかった。カケラを食べさせるのは人間として最悪の行為だった。それを実の父である皇帝に平気でおこなうディランに対して身の毛のよだつ戦慄が走った。
- ディランはシャーリーを抱きしめようとした。しかしシャーリーは動かなかった。シャーリーの拒否にディランは固まった。「なぜだろう?」
- 剣で刺せば苦痛を受けるが死ぬことはない体。わずかな水だけでも死ぬことはなかった。それはディランが考えた最高のプレゼントだった。
- シャーリーの顔に初めて動揺が浮かんだ。ディランは彼女が考える以上の天才だった。何も話したことがないのに鳥肌が立つほどシャーリーの事を見抜いたディラン。はじめて「逃げたい」という衝動が起こった。
- 完全な暴君となったディランは、愛嬌を振りまく猛獣のようにシャーリーの首筋に顔をうずめた。
- シャーリーは目を見開いたまま息を殺した。ディランの息遣いが柔らかく触れて肌をくすぐった。
- 「先生、どうして褒めてくれないのですか?」シャーリーは息をのんだ。
wami
このあと二人の関係は深まっていきます。しかしシャーリーはどうしてもディランから離れなければならない事態に巻き込まれていきます。近日中に2巻をまとめるつもりです~
更新情報はTwitterでお知らせしていますのでよろしければフォローどうぞ!
更新情報はTwitterでお知らせしていますのでよろしければフォローどうぞ!
続きはこちら
-
原作小説|暴君を手懐けて逃げてしまった|あらすじ2
続きを見る
原作小説のご紹介
「暴君を手懐けて逃げてしまった」の韓国版原作小説は、RIDIBOOKSでも購入可能です。
https://ridibooks.com/books/2901002239
-
RIDIBOOKSでアカウントを作る方法
続きを見る