登場人物紹介
カエナ・ヒル
一度目の人生ではレイジェフに利用され、最後は嫉妬に狂いラファエロと結ばれたオリビアを毒殺しようとするが失敗。レイジェフに裏切られヘンバートンのもとに売られ拷問を受けて殺された。二度目の人生では現代で平凡なOL生活を送るものの仕事上のトラブルにより刺殺されてしまう。しかし気が付くと成人式前のカエナ・ヒルに戻っていた。そしてこの世界が前世のOL時代に読んだ小説「黒薔薇のレディ」であることを知る。
レイジェフから逃げ出して自由に生きるため着々と準備を進めるが、乳母だったクローレンスがレイジェフによって殺されたため皇帝の座を奪うことを決意する。
レイジェフ・ヒル
カエナの弟で皇太子。性格は残虐で目的のためなら手段は問わない。前世ではカエナを操り皇帝となるが、オリビアの毒殺に失敗したカエナを捨てヘンバートンのもとに送る。小説ではラファエロの支援を受けたイーデル(現皇帝の側室カトリーヌ・リンドバーグの息子)に倒される。転生後のカエナに困惑しつつも依存し異常な執着を見せるようになった。
実は皇帝の実子ではなく、前皇后がラファエロの父(レオ・フランシス)と浮気してできた子供である。
ラファエロ・キッドレー公爵
小説ではオリビアと結ばれる。今世では転生したカエナと協力関係を結ぶが、急速に彼女に惹かれていく。公爵位を継承し皇帝に謁見した際、レイジェフが本当は自分の父親と先皇后の不義によって生まれたことを知る。カエナが魔力のために寿命の半分を使ったことを知り苦悩するが、最後まで彼女を支え続ける。
イェイスター・ハインリヒ大公
元々は地方の貴族だったが、皇帝の側室であるカトリーヌ・リンドバーグを没落させ人質に取り王位継承権を手にした。反レイジェフ派の貴族をまとめると同時に暗黒街を牛耳っていた。魔法使いたちと繋がりを持ち、狩猟大会で魔獣を放ってラファエロたちを殺そうとした。
バエル
デニアン司祭の寺院に身を隠す魔法使い。黒い庭の主人である。小説では毒殺されたオリビアの魂を蘇らせた。
カエナと魔法契約を交わすが、その特異な魂に興味を持ち彼女を見守り手助けをする。人間を超越した存在。
ヘンバートン・ギリアン
ラファエロの家臣。前世ではカエナの夫で拷問を加えて彼女を殺した。今世ではゼノンと結託してカエナを誘拐するが、カエナを我が物にしようとしたゼノンの裏切りで失敗。救出に来たラファエロに拘束される。
最後は皇宮の地下牢で暗殺された。
ゼノン・エバンス
レイジェフの側近。早くからカエナの異変に気付き警戒する。ヘンバートンのカエナ誘拐計画に協力するが途中で裏切りカエナを手に入れようとするものの失敗。ハインリヒに弱みを握られる。皇帝代理人となったカエナを始末しようとするが、誘拐事件のことを知ったレイジェフに殺された。
クローレンス・イェレヴァン
元々はカエナの母親の侍女だったが、母親の死後カエナの面倒を見るようになる。カエナがメイド長として呼び戻そうとしたがレイジェフによって殺される。
レオ・フランシス
ラファエロの父でありレイジェフの実父。カエナの母親とは愛し合う仲だったが、皇帝の妻として迎えられたため破局。しかしカエナが生まれた後に訪れた保養地で再会。逢瀬を重ね皇后はレイジェフを身ごもった。ラファエロの母ノアとは折り合いが悪く離婚調停中。ラファエロにも冷たく接していた。公爵となったラファエロのもとを訪れるが拘束され、最後はレイジェフに殺された。
ベラ・レクトン
カエナの侍女だったが認められ上席女官となる。カエナに忠誠を誓う。
オリビア・グレイス
小説でのヒロイン。カエナが転生した今世ではカエナの側近となり忠誠を誓う。当初カエナはラファエロとの仲を取り持とうとするが、ストーリーが変わったためかお互い何の感情も抱くことはなかった。レイジェフもオリビアのことを気に食わない女として嫌った。
ジュリア・エバンス
ゼノンの妹。お嬢様として育てられたが、エバンス家は大麻栽培で莫大な収益を上げていた。殺されたゼノンに全ての罪を被せた父親に失望。カエナの助けもあってエバンス家の爵位を引き継いだ。自分を救ったカエナに忠誠を誓う。
スーザン・レポール
小説ではオリビアの親友だったため、カエナが上席の女官として迎える。
カトリーヌ・リンドバーグ
現皇帝の側室だったがハインリヒに没落させられる。カエナの助言でレイジェフがハーメル伯爵の養女とした。
イーデル・リンドバーグ
小説ではラファエロの支援を受けてレイジェフを討ち皇帝となる。今世では皇立アカデミーでカエナと出会い、弟として受け入れられる。
ジャミール
レイジェフの密偵。カエナが皇居から逃げられないように裏で工作する。
ジェダイヤ
元騎士だったが病の弟を救うために傭兵となる。前世ではカエナの依頼で公爵家の監視を突破してオリビアの毒殺に成功するほどの実力者。
カエナが魔力を得るために訪れた寺院の近くにはハインリヒの息がかかった傭兵のアジトがあった。皇女の滞在を知ったハインリヒはジュダイヤたちに拉致を指示。寺院を襲撃したがそれはカエナが仕掛けた罠だった。
カエナはエリクサー(魔法使いが作る万能治療薬)を弟に使うことを条件にジュダイヤに二重スパイとなることを提案した。
小説のあらすじ
カエナ・ヒルは皇帝レイジェフ・ヒルの姉としてその美貌を武器に権勢をふるっていたが、実際にはレイジェフに利用されるだけのマリオネットだった。
オリビア暗殺に失敗したカエナは、レイジェフに見捨てられサディストだったヘンバートン・ギリアンに売られ非業の死を遂げる。2回目の人生では現代に転生し平凡なOLとして暮らすが、仕事上のトラブルに巻き込まれその人生でも若くして命を絶たれた。しかし気が付くと成人式前のカエナ・ヒルに戻っていた。ちょうどそれはレイジェフの陰謀に利用され毒を飲まされ倒れた時だった。そしてここがOL時代に読んだ「黒薔薇のレディー」という小説の世界であることに気が付く。
「黒薔薇のレディー」の登場人物たちは、ヒロインのオリビア以外は皆狂った人間ばかりだった。
ソシオパスの皇太子レイジェフ、皇帝の座を狙うハインリヒ、人間なのか分からない魔法使いバエル・・・男主人公のラファエロはまともに見えたが、人間関係に影響を及ぼすほどの極度の潔癖症という若干精神的な問題を抱えていた。ヒロインのオリビアはそんな登場人物たちの足りない部分を補う安定剤のような存在だった。
カエナは、オリビアを手に入れようとするレイジェフに利用され彼女を毒殺しようとした。それは成功したように見えたが、「黒い庭」の主人である魔法使いバエルがオリビアに力を継承し蘇らせた。それがタイトル「黒薔薇のレディー」の理由だった。
転生したカエナは、レイジェフから逃れるため、架空の結婚相手を見つけ地方で静かに暮らす計画を立てる。
計画を進めるにはラファエロの協力が必要だった。そしてラファエロの結婚問題の解決をきっかけに協力関係を結び、レイジェフを手懐ける一方で皇居内での権力を掌握していく。
上席女官の管理権限を手にしたカエナは、侍女のベラとオリビア(小説でのヒロイン)、ジュリア(レイジェフの側近ゼノンの妹)、スーザン(小説ではオリビアの親友)を上席女官として迎え自分の配下に置き、徐々にレイジェフの勢力を削っていった。そして乳母だったクローレンスをメイド長として呼び戻そうとした。彼女は以前レイジェフの策略で首都から追放されていた。
しかし、クローレンスはレイジェフによって殺されてしまった。
自分がまだレイジェフのマリオネットのままで、あまりに無力であることに気づいたカエナは復讐を誓う。
「黒い庭」の番人である魔法使いバエルのもとを訪れ、寿命の半分を対価に魔力を手に入れる。カエナの身体には寿命を全うできなかった前世2回分の生命も蓄積されていたため時間を止めることもできる「空間支配魔法」の能力が発現した。
しかし、強大な魔力を行使するには支払う代償も大きかった。
皇帝から代理人の権利を譲り受けたカエナは、レイジェフの勢力を完全に押さえつけた。「こうなったのもすべてはバカなお前のせいだよ」カエナはレイジェフを挑発した。あとはハインリヒを無力化させるだけだった。
ハインリヒはゾディアック伯爵という身分で暗黒街を支配していた。カエナはジェダイヤとともに屋敷を襲撃しハインリヒを追い詰めたが、ローブを纏った3人の魔法使いが現れカエナを攻撃した。それはバエルの弟カインだった。カインはカエナの能力を吸収しようとしたが、助けに来たバエルのおかげでその場からなんとか逃れ、ラファエロに助け出された。カエナが魔法のために寿命の半分を支払ったことを知ったラファエロは沈んだ顔で言った。「あなたのために最後まで戦います。」
wami
成人式後の狩猟大会で魔法使いたちがカエナを狙います
ゾディアック伯爵邸が壊滅したため、ハインリヒは暗黒街での求心力を失っていた。レイジェフの勢力も弱体化し、カエナへの注目がさらに高まっていた。
狩猟大会当日、レイジェフはハインリヒのもとを訪れ同盟を提案した。皇帝を暗殺しその罪をカエナに負わせて廃位するつもりだった。「姉さんは毎晩どこかへ出かけているようでした。ハーメル家の闇市場がお姉さんの手に渡ったのはご存じですか?」ハインリヒは襲撃犯がカエナだったことを知り殺気立った。
狩り場に放たれていたのは魔獣たちだった。カエナの前に現れたカインは新たな魔法契約を持ち掛けた。「君の魔力を私に譲れば寿命を戻してあげるよ」しかしカエナは拒否、するとカインはハインリヒたちがいる狩り場に瞬間移動させた。カエナが魔法使いであることを知ったハインリヒは魔笛で魔獣を呼び寄せカインと共に攻撃した。応戦するカエナだったが、魔力が尽きてしまい絶体絶命に陥った。そしてラファエロが瀕死の重傷を負ってしまう。その姿を見たカエナは怒りで魔力が暴走し時間を止めた。すでに人間の能力を超えていた。ラファエロはエリクサーで回復するが、魔力の暴走は止まらず強力な重力魔法が発動しカインを制圧した。
カインはバエルに引き渡され、ハインリヒは騎士たちに拘束された。レイジェフはすでに逃走していた。
皇居に戻ったレイジェフは皇帝を毒殺し、カエナに罪を被せようとした。ルーデン侍従長はカエナに先皇后の日記を渡した。そこにはレイジェフ出生の秘密が書かれていた。カエナは騎士団の警備を突破し皇帝の寝室に入った。皇帝は瀕死の状態だった。エリクサーを使えば皇帝は完全に回復することができたが、カエナは皇帝を生かしておくつもりはなかった。
皇帝が息を引き取ったのを確認してエリクサーを飲ませた。すると息がわずかに回復した。エリクサーは死んだ直後の人間に使うと、直前の状態まで戻す作用があった。
皇帝が息を吹き返したため、カエナによる毒殺を主張していた者たちはみな拘束された。レイジェフも幽閉されることになった。カエナはレイジェフに会いに行った。「僕には何も必要はありません。お姉さんだけいてくれれば。」
しかしその時、レイジェフの秘密部隊がオリビアの首にナイフを突きつけ部屋に入ってきた。彼らはカエナに銃を向けた。「あなたは僕に許しを願えばいいのです。」「結局お前はそういう人間なんだね。」カエナは魔法で一瞬のうちに隊員たちを制圧した。そして傷を負ったオリビアにエリクサーを与え安全な場所に移した。
カエナは母親の日記帳を床に放り投げた。そして呆然とするレイジェフに最後の挨拶をした。
「じゃあね、レイジェフ。」カエナは蜃気楼のように消えていった。
wami
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